お嬢様の番犬
水無月雨衣(みなつきあい)。
それが僕のお仕えしているお嬢様の名前。

世界に名をはせる大企業、ミナツキグループ社長の一人娘。つまり社長令嬢だ。


…今日から高校生になる、彼女の素晴らしさといったらもう、原稿用紙100枚程度の文字数では表現できない。


可憐で頭脳明晰、誰にでもお優しく、まるで太陽のようなお方だ。



「…ヨルも、似合ってる。すっごくかっこいい」


上目遣いでそんなこと言われたら鼻血噴出しますぞお嬢様。


「ありがとうございます」


「でも、…ヨルは別に女の子のカッコしていいんだよ?」


コテンと首をかたむけて、少し困ったような表情で彼女は言う。


「お嬢様をお守りするためなら、性別などドブに捨ててきます」


「そっ、そんなこといっちゃダメだよっ!ヨルかわいいのにっダメっ!」

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