向井君は向井さん
提案
「…は?」
「は?じゃないわよ」
「え?」
「え?でもないわよ。
何なの、耳遠いの?」
「ごめんごめん。
聞き間違いかなもう一回聞かせてよ」
「だから、私に変装してアンタがタイマンする」予想の範疇を過ぎた提案に健人は「ハ…ハハ」と笑い始めた。
「またまた、姉ちゃんはオモシレーな!俺が?
姉ちゃんに?変装?
ハハハハ、ウケるわ」
「じゃあ、決まりね。
制服着る?」
「バカか!」
「誰がバカよ!バカ!」「姉ちゃんだよ!誰が
そんな提案のるか!」
「何でよ!良い提案じゃない!」
「どこが!絶対にバレるってば!」
「そうかな?そうは思わないけど…私達ってさ
一卵性双生児じゃない
顔ソックリよ?
小さい頃なんて見分けつかなかったじゃない?
それに健人は女顔よ。
私に似て美人だし」
「なにさりげなーく
私、美人アピールしてんだよ…。
俺もう17だよ?変声期過ぎてこの声だよ」
「風邪ひいたで誤魔化せるわよ」
「喉仏だって…」
健人は上を向きポッコリ出た喉仏を見せる。
「スカーフ、マフラーを巻いて誤魔化しなよ」
「胸…」
姉は…まな板か。
説得力ないや…と言葉を飲み込んだ。
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