向井君は向井さん
「イヤーン、本当に健人は姉想いのイイコ!
じゃあ、決まりね」
姉はルンルン気分でリビングを出て行く。
「ハ…ハハ…」
俺は苦笑しながらそれを見送る。
何か、まんまと姉にのせられた気は否めない。
弟の弱い部分は手にとる様にわかるって。
さすが姉ってとこか。
「じゃあ、健人。
これ着てみなよ」
部屋着に着替えリビングに戻ると、脱ぎたてホカホカの制服を手渡す。
「…え?」
「サイズは合うはずよ」「だって、タイマンは
明日…」
「着てみないと色々わかる事あるでしょ?
ゴチャゴチャ言わないで着ないと諭吉、浮気しちゃうよ」
「うう…」
いざ、女装するとなるとこれまた恥ずかしい。
よりによって脱ぎたての姉の制服ってゆうのが
どうも…。
「どうしたの?あっ」
いつまでも着替え始めない健人を見つめ里緒菜はくるりと背を向けた。
「そうよね、もう年頃だものねー」
そうではないのだが。
言うならば着替え見られるより、着替え後の姿
見られた方が恥ずかしいんだが…。
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