体だけでも繋ぎ止めたい
「り……」
「姫、わりぃ」
私の声より先に
陸の嫌な言葉の方が早かった。
陸はベットから起きて、何事もなかったかのように部屋を出て行く。
乱れたベットと置き去りの私は
動くまで時間がかかった。
そしてリビングから聞こえる
陸の話し声は、嫌でも聞こえてくる。
「今から行く」
「オレが会いたいから気にするな」
「あぁ。じゃあ後でな」
ドアくらい閉めてよ……
私には決して言わない言葉
私には出さない優しい声
他の女との会話を聞かせないでほしかった……
「姫?」
再び戻ってきた陸は
申し訳なさそうな顔をしていた。
言わなくていい……
「ごめんな」
「………」
謝らないで……
惨めな私をもっと惨めにするその言葉
「また連絡する」
虚しく閉まる玄関の音と同時に
私の中の何かがプツンと音を立てた気がした。
ーーー待つだけの女はもう限界……