体だけでも繋ぎ止めたい
私の言葉に他でもない陸が驚いた顔をした。
「そうなんだぁ〜!陸、このパーカー…」
「いらねぇ」
深山さんが陸にパーカーを渡そうとしたけれど、陸は素っ気なく言い放って元来た道を歩き出した。
間違いなく不機嫌だ。
「ちょっと陸!どこ行くの!?」
深山さんは、その陸の後を慌てて追いかけて行った。
「あ〜あ、あんな態度じゃ怪しいよな」
それを見てイタズラに笑う優夜。
「優夜があんな言い方するから…」
「あの場面でのオレの行動は、妥当でしょ」
“さすがオレ”と言ってピースをしてくるもんだから、呆れて笑ってしまう。
二人して笑ってるなんて
今までの私だったらありえないよ。
私がなりたかった普通の恋人同士の姿は、きっとこんな感じ……
優夜とだったら私はーーー
「後でいい所連れてってあげる」
「優夜が言うとヤラシイ」
「してほしいの?」
「ーーは!?」
「ハハッ!姫乃はすぐ本気にすんだもんな〜」
こうやって
笑ってられる気がする。