*SHORT STORY*




8月6日―
明日はあたしの地元の花火大会。


「彩実♪明日一緒に行くしょ?待ち合わせどこにする?」

ウキウキした笑顔を向け、あたしに話しかける友達の晴香。
でもあたしは晴香のようなテンションにはなれない。

「…晴香」

「ん?」

きょとんとして返事をする晴香。
あたしはそんな晴香に申し訳がなくて、思わず視線を斜め下に下げた。

だって―


「晴香、もっちゃんと行きなよ」

もっちゃん、とは晴香の彼氏。
誰からでももっちゃんと呼ばれる彼は、とても社交的でカッコ良くて、人気があるヤツ。
晴香とは付き合いだして、1年半経つ。
晴香はあたしの言葉ににこっと笑った。

「いーんだよっ!モトとは今年行かないもん」

あたしもそうだけど晴香も、あんまりイベントにこだわらない。
だって普通の日と特に変わらないもの。
だからお祭りとかも行かなくても、全然普通だ。

でも晴香は気を使ってる。

あたしに―





< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop