*SHORT STORY*


カラン‥


「彩実!」

「‥お待たせ」

「彩実の浴衣可愛い~♪ピンクなんて持ってたの?」

「ん、姉ちゃんの」

「そっか!じゃ、行こう?」

「うん」


ごめんね?晴香。

無邪気に笑う晴香は、きっとあたしに笑って欲しくて―

楽しんで欲しくて。

ただそれだけなのために、もっちゃんとは行かず、あたしを誘ってくれたのに。
きっとあたしは1人だったら、部屋で泣いて過ごしてただろう。
そんなあたしを、気遣ってくれた晴香。

なのにあたしは浮かない顔ばかり―

ごめんね、晴香。



「晴香、ごめん」

「もう!何そんな気にしてんの?」

「うん…」

「どうせモトも友達と来てるし、きっとどっかで会うだろうし」

「そっか」

そう言ってあたしは目を伏せると、晴香の小さい手が、あたしの頭をポンと撫でた。



「彩実っ!楽しも?」


「‥うんっ」





ありがとう、晴香。




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