*SHORT STORY*
出店で買い食いをしたり、ライブで飛び跳ねたり、そうこうしているうちに、あたしはすっかり楽しんでいた。
2人とも笑顔が絶えなくて。
スゴク、楽しい!
ドォンッ‥
やがて、真っ黒の夜空に明かりが灯される。
「あ!彩実、花火始まっちゃった!」
「あ~もうそんな時間っ」
「席探そう!」
「うん!」
あたし達は浴衣を多少崩しつつ、座れる場所を探した。
あまりいい席ではないけど、なんとか確保した席に腰を下ろした。
「あ~下駄痛いっ」
あたしは下駄を脱ぐと、親指と人差し指の間が真っ赤だった。
「晴香、バンソーコー持ってる?‥晴香?」
あたしは自分の足を見ながら、晴香に話しかけても、晴香の反応がなかった。
不思議に思って晴香を見ると、すごく複雑な顔である1点を見つめていた。
「晴香、誰かいたの?」
あたしも同じ方向を向くと、そこにいたのは―