*SHORT STORY*
「‥じゃぁな」
龍が横にいる女の子を、どれだけ大切にしているかが―
龍の笑顔から滲み出ていた。
「うん、バイバイ」
"バイバイ、龍"
ドォン‥ドンッ
真っ暗な空の中に、立て続けにあがる花火。
真っ暗だったあたしの心に、次々と浮かぶ龍の笑顔。
パッと浮かべばすぐに消える。
なのにしっかり消える前に、またもう1つパッと浮かぶ。
真っ暗な心の中を、唯一照らしてくれる光り、笑顔―
「ねぇ晴香、今日はありがとう」
「…ううん」
ありがとう。
ありがとう。
今日あたしをここに、連れて来てくれてありがとう。