立入禁止

回想を終えた僕は綴じていた瞼を薄く開く。


「あー……もう、家に帰りたいなぁ…」


団扇を畳に置くと布団の上に大の字になって、木製の天井を見上げて呟く。

虫の鳴き声が聴こえるだけで、他には何の物音もしない静かな夜。

広い和室でたった独り居る僕の声は想像以上に部屋内に響き渡る。

結局、僕は今日朝から晩まで家の中で退屈な時間を過ごした。

ご飯を食べ、テレビを観て、昼寝の繰り返しで一日が終わってしまった。

何回も昼寝をしてしまっている所為か、普段寝ている時間を過ぎても全く眠気がこない。


「はぁ……明日も、する事ないや…」


本当につまらない。

つまらなすぎて、僕は今すぐに家に帰りたくなった。
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