立入禁止
そして、いざ、僕のする事が尽きてしまった時。
子供がこの村に居ない現実を思い出して、とても悲しくなった。
居ないから今すぐ目の前に同い年の子を出して欲しい。
魔法使いでもない二人にそんな事を頼んでも出てくるわけがないのは、流石の僕だって判っている。
ちゃんと分かってはいるがどうにか遊び相手を見付けたいと思ってしまう。
だから僕は昨日の夜ご飯を作っていたおばあちゃんに、村の近くに住んでる子供が居ないのかという質問をした。
でも、おばあちゃんに即答で"居ない"と云われて僕は呆然とする。
この村の中にも村の近くにも、随分前から子供は一人として居ない。
子供という子供は全員、町の中心部にある小学校の近くで住んでいる。
続け様にそう話すおばあちゃんの声を未だにぼんやりと聞きながら、僕は考えていた。
大型スーパーにはおじいちゃんの車で連れて行ってもらってるから道は何とか覚えてるけれど、町の中心部の行き方は知らないから行けない。
知っていたとしても独りで道を歩いて町まで行くのは、きっと怒られるだろう。