立入禁止
痛みに悶絶し、泣き喚きながら悲鳴を上げても"アレ"は退かない。
「いたいっ!痛い…ッいたいぃ…!」
背中に乗られている所為でのた打ち回る事も出来ず、荒れた地面に生えた雑草を力の限り掴み悶える女の耳に妙な音が掠める。
何処か近くから聞こえる、とても不愉快な音だ。
否、近くではなく頭上から聞こえてくる。
雑草を掴み震えながらも、痛みを我慢して肩越しに顔を向けた。
視線の先には、血に塗れた肉らしき物を食べている"アレ"の姿があった。
「あぁ……ぁあああ……」
虫の鳴き声しか聞こえない周囲に響く、不快な咀嚼音。
痛みと恐怖と錯乱の中、女は自分の肉が食べられているのだと理解する。