立入禁止
そんな女の絶望的な状況を照らす、眩しい灯り。
雑草の中に転がるように落ちている懐中電灯に眉根を顰める。
(逃げ…ないと……このままじゃ……)
激しい痛みに涙を流しながら、草を掴んでいた手を離し身を捩って懐中電灯に向かい震える手を伸ばす。
次の瞬間、手の甲に何か鋭い刃物が突き刺さった。
「あがあぁぁあぁあああッ!!」
余りの痛みに咆哮した女の声は、辺り一帯に木霊した。
皮膚はおろか骨まで突き抜け、地面に刺さっている刃物。
雑草に飛び散る紅。
地面に広がった紅。
視界に映るのは紅ばかり。
女を襲う想像を絶する痛みに、まだ終わりはこない。
しかし、女にはもう痛みを訴える程の声を上げる気力は残っていなかった。