グロリアスKISS
あたしは小さく息を吐いた。
「帰らなくていいわけ?お父さんとか心配してんじゃないの?」
あたしが歩くとそれに比例して日向雅弥も歩く。
「別に。もう高校生だぞ、ガキじゃねーし」
「あっそ。ねぇ、着いてこないで。店の人に見られたら大変なんだけど」
「あんたはさ、家に両親いないわけ?」
「別に。関係ないでしょ」
別にいないわけじゃない。死んだとかそういうことじゃないんだけど。
ただ、2人とも海外で働いてるから帰ってくるのなんて年に3回あるかないか。
1人暮らしみたいなもの。まっ、こいつに言う筋合いなんてないけど。