私のヒーロー。
5st
①
ガチャ
ドアを開けると私の大嫌いなタバコの香りが鼻についた。
靴を脱ぎ、一回深呼吸をしてから
アイツがいるであろう部屋に一歩ずつ近づいて行った。
「おい、金はどこだ。」
部屋に入るや否や私の顔を確認せずそんな事を言ってくる男に、心底あきれた。
「ココにはもうないよ、一銭も。」
「ああ?」
やっとこっちを見た彰は、昔の面影など微塵もなかった。
もう全てが変わってしまった、彰も、私の気持ちも。