~とある教師と優等生の恋物語~
白川には「倉澤先生に会って、推薦希望を取り下げてくるから」と言って、


半分はそのつもりでひとりでアトリエを訪ねた俺なのに。


「なんとかなりませんかね?」


こんなコトを言うなんて。まさか自分がこんなコトをするなんて。


事情を分かったうえで白川に推薦を貰えるようお願いするなんて。


「同情ですか、ジロー君。……今、なんとかなったとして、キミその後の彼女の人生に責任もてるの?」


やっぱり間違っているんだ。


「…………」


「キミ達みたいに重いものを背負って?彼女は好きでもない油絵四年間描くの?星野洋子の娘って見られるあの中で?」


「…………」


「それが想像以上に大変な事なのはキミ達が一番知ってる事でしょう」


確かに。


「キミがすべきことはそんな事じゃないでしょう」


優しく厳しくそう諭される。


「まあ、……僕にも責任の一端はあるんだけどね」


倉澤先生はよく優しい照れたような顔をする。


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