~とある教師と優等生の恋物語~
思わずそれにため息をついてしまう。


「キミも随分なガンコちゃんだよね……」


「……センセ。あたし間違ってんのかなぁ」


「ん?」


ふと画面から視線を上げて窓の外に顔を向けた白川の細い背中を見つめる。



「進路。母親のDNAを見せつけるための、ないものをあるように見せるための受験なんて、間違ってると思う?人生、まるごと間違ってる?」


(ああ、そうか)


白川は分かってるんだと直感した。


自分が間違っているって。


それでも諦めきれないんだって。


(だったら――)


「いや、いいんじゃないの?好きにすれば。ダメならやり直せばいい」


デッサンを続ける斜め前の折れそうに頼りない背中に向かってそう声をかけた。


触れたら壊れそうな白川に。

「いいんじゃない?」

そう。だって諦めきれないのなら、間違ってると分かってたって、進めばいい。


「センセ、ごめんね」


「別にいーよ」


人はそのくらいは自由なんじゃないかと思うから。


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