~とある教師と優等生の恋物語~
「今更教師面?寂しくてあたしを抱いたくせに。あたしじゃなくてもいいのに、あたしを抱いたくせに。今更教師面?」

「、」


ふいにぶつけられた怒りの塊に胸がギシギシと音をたてる。


(ああ……)


戻れるものならあのときに戻りたい。


そうすれば今よりはマシな状況にできるのに。


(俺って本当にバカ)


脳裏をめぐるのは、


必死で絵を描く白川。


茶色であろう髪を真っ黒に染めている白川。


美術室でのふいに触れたキス。


唇の柔らかさ。


俺なんかを相手に一世一代の賭けをする白川。



子供みたいで大人みたいで


優等生なのにアンバランスで


壊れかけのキミにあんな事して


あんな扱いして――…
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