~とある教師と優等生の恋物語~
「モデル料とるよ」


ふと意識を戻せば、白川がジッと俺を見据えている。


「ああ、悪い。なんかちょっと――」


「嘘だよ。いーよ」


ちょっとキツイ印象の瞳が弧を描く。


「……」


「なによ?」


「……後で金出せとか言いそうなんだけど。白川って何言い出すか予想できないから」


「言わないわよ。失礼ね。あ、でもアイスぐらいおごってよ」


「了解」


返事もそこそこに再び鉛筆を走らす俺。


(だって)


今を残しておきたいという衝動が急速に湧き上がってきて。


そんな感覚は本当に久しぶりで。


そんな衝動に素直に従うしかなす術はなく感じられて。


「なんか変な気分」


と照れくさそうに笑うこの表情も


髪を耳にかける仕草も


ピンと伸びた背筋も


この空間を


全部残しておきたい。
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