~とある教師と優等生の恋物語~
ポケットの財布とケータイ、車のキーを確認すると、美術室の扉を開ける。


そんな俺をじっと見据える白川とドアを閉める瞬間に視線が絡んだ。


(……なんだ?)


そんな風に見つめられると、どうしていいのかわからなくなる。

(『職場放棄』程度のハズなのに)


「……な、に?」

「……別に。永井先生とジローって変なの。怪しいよ」


なんて不機嫌そうに視線を外されても、どうしていいのかさらにわからなくなる。

(所詮『職場放棄』程度なのに)


やっぱ誤解されたくねぇな、とひとり思ってしまう。


閉じかけた扉をまた少し開けて、声をかける。


「疑うなら一緒に来れば?」


白川はフルフルと首を振り「ご心配なく。適当に帰りますから」と事務的な声で答えると二度とこちらを見なかった。
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