~とある教師と優等生の恋物語~
だって――…


「なんでお前が涙目なの?」


「…分かんない」


「え?なんで……」


「分かんないけど。この間の夜から……ジローまで、あたしから居なくなっちゃったみたいで……寂しくて仕方ないんだもん」


「なんだよ、それ」


平静を装うのがこれ程大変だったとは。


「ジローってさ、どっか投げやりでまともに恋なんてしてなくて……人生をなんとなく生きてるって感じで。そんな感じが……あたしをホッとさせてたのに」


言ってる事は、


その内容は酷いものなのに。


(……なぜだろう)


「ああ、あたしと似た人もいるんだって。明日世界が終わるとしも構わないってオトナがいるって事が、どっかで嬉しかったの」


その酷い内容に、


その声と顔が重なると――


(切なくなるんだ)
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