~とある教師と優等生の恋物語~
『…ジロー?』

「、」


登録なんてしてないのに。


一瞬で分かるんだからまいったもんだ。


「どした?」


『ジロー』


「なんだよ?なんかあったのか?」


電話の向こうで白川が小さく息を吐いた。


『ユカリさんが…倒れてた……開店前の時間帯にお店行ったら、お店は休業中になってて……』


「…ユカリさんって、紫苑の?」


『そう。でね、救急車で運んでもらったの』


「どこに?お前、今どこにいんの?」


『癌中央クリニック。財布の中の保険証と一緒に診察券があったから』


頭を棍棒でなぐられたような衝撃だった。


「が、ん?」


『うん。癌』

サラッとそう言い切る。


確か夏までお店を手伝うと言っていた白川。
“夏まで”って……こういう事だったのか?


『ジロー?』
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