~とある教師と優等生の恋物語~
「ジロー!」


「あんだよ?」


「あのッ、えっと――」


「…早く帰んなよ、お父さんのトコ。話まだ続いてんでしょ」


「でもジロー出てっちゃうし」


「気にするなよ俺の事なんて。お前は今しっかりお父さんの話を聞くべきだよ。こんな俺のトコ来たって何もいいことない。飴玉ひとつやらねぇよ?」


「でも」


「早く戻んなって。お父さんが待ってるんだからさ」


きっと求めてやまなかったものが、


望んでたものが、お前を待ってるんだから。


「俺も暇じゃねーからもう帰らしてよ。やり残した仕事がたんまりと学校にあんだよ。あぁ、面倒くせぇ」

手をヒラヒラと振る俺に白川がはにかむ。


そして「ありがと」と言って背中を向けた。


「あぁ、そうだ。白川ぁ」


「ん?」


振り向く彼女の動きに合わせて揺れた黒髪が艶やかに光る。


(もうキミは大丈夫だから)

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