~とある教師と優等生の恋物語~
振り返るとそこには背がスラリと高く、メガネをかけストレートの黒髪を風になびかせたの真面目そうな生徒がひとり。


ツカツカと一定の速度でロボットみたいに近づいてくる。


(ヤベ…)



即座に携帯灰皿に煙草を突っ込むと真顔を作り出す。


「あ、うんと……キミ。優等生。ここは学校じゃない。ここは空だ。したがって禁煙区域ではない筈――……」



「教師のくせに言い訳ですか?教師なのに?」


(ああ……)



早くも敗北の香りがしてきた。



ああ、苦手。こういうタイプって俺、昔から苦手だったんだよね。


風紀委員とか、学級委員とか――…


どうでもいいことに目くじらたてる輩(ヤカラ)が。


「『俺こういうタイプ苦手』って顔にでてますよ」


(だって実際、苦手だし。嫌いですから)


弧を描いた彼女の口元。



さらに近づいて来た彼女が俺の前でピタリと止まり、そしてメガネを外す。
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