~とある教師と優等生の恋物語~
「話、それだけですから。じゃ」


クルリとスカートをひるがえして屋上を出ていく彼女。



「そう言えば。バイト……禁止じゃねぇの?この学校」



「禁止ですけど?バイトって言ってるけどアレ正確にはバイトじゃないんで」



「はい?」



「お金貰ってないですから。所詮は親戚のお店の手伝いってとこです。夏までって言われてるし」



「……」



「嘘だと思うならユカリさんに聞いてください。ってかあたし、父に言われて親戚の家業を手伝う健気な子なんです」



振り返りニッコリと笑うその顔には、そりゃもう『あたし健気に頑張ってます』って書いてある。


んなわけねェじゃんよ。なんだよ、このエセ優等生は。



若い青春真っただ中な男子ならコロリといってしまうであろう、その笑みを残り少ないオトナの余裕ってやつで「ふん」と鼻で笑ってやった。
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