~とある教師と優等生の恋物語~
その日、白川とした約束は、ちゃんとデッサンと油絵の指導をすること。もちろん倉澤先生好みに近い形で。


そしてあと1回だけ見てもらえる機会を作ること。


「そしたら、もうホントこれで脅迫なんてしないから」


ケータイの中の写真を見せて笑う彼女にさっきの傷ついた跡は微塵もなくても


「あたりめーだ、バカ」


本当は平静を装うのが大変だった。


あんな顔されたら、こっちだって落ち込むってもんだ。


いつだったか『ジローってろくでなしだけど、どうしようもない奴だけど、罪悪感とかは人並みに感じるように出来てるから厄介だよね』と言ったのは修司だった。


(ホント、厄介です)

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