~とある教師と優等生の恋物語~
『もしも~し。ジロー?』

無機質な何度目かのコールの後、やけに明るい声が耳に響く。


『もしも~し!』


この人なら知っているんだろう。



美術界に精通した親を持ち、その血を色濃くひいているこの人なら――


「俺」


『おお!ジロー。どうした?電話してくるなんて珍しいな。元気か?飯食ってるか?女はいるのか?毎日牛乳飲んで――」


(想像通りだけど。相変わらず―…)


「うるさい!」


『だってさー』


いつも思うのだけど。


(ホント、この人どこまでもわざとらしくうるさい)
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