~とある教師と優等生の恋物語~
「あ……ごめん。邪魔するつもりはなかったんだけど。あんまり部屋が暗いから」


まただね、と指さす窓の向こう側で、薄墨で覆われたような空がいつの間にか静かな雨をふらせていた。


「いや、ああ。ごめん。お前のデッサンのつもりでセットしたのに」


「先生って……やっぱ上手いんだね」


「お世辞はいいよ。すっげぇ久しぶりに描いたから、やっぱ腕って鈍るのな?」


ふいに褒められて、照れくさくなってしまった。


「声、かけてくれたらいーのに。したらお前――」


「なんか、先生楽しそうだったから声かけそびれちゃった」

(楽しそう?)


「わりィ」


椅子から腰を上げて、デッサンの用意をする白川を眺める。


(なあ、白川?俺、完璧に確実に確信しちゃったんだ)


「絵、好きじゃないだろ、お前」
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