秘密恋愛
公園から、どれくらい歩いたんだろう……。
10分?いや、20分?
普段、10分や20分の距離なんて普通に歩けちゃうのに、今はその時間が凄く長く感じられる。
住宅街の一角にあるアパートの前で止まった。
お世辞にも綺麗とは言えないアパート。
「ここの2階の1番奥が僕の部屋」
彼は笑顔で、そう教えてくれた。
私は何も言わなかった。
いや、どう返事をしていいのかわからなかったと言った方が正しいのかもしれない。
もし、私が彼の彼女だったら「そうなんだぁ!」と、これから起こるであろう事を想像して、目を輝かせながら言ったかもしれない。
でも、私は囚われの身。
だから、目も輝くことなく、ただ黙っているしかなかった。