秘密恋愛
トイレでワンピースに着替えた。
黒のシンプルなプリンセスラインのワンピース。
鏡がないので似合ってるのかどうなのか全くわからないけど、サイズはピッタリだ。
私はトイレから出て、部屋に戻った。
部屋でパソコンを弄っていた聖夜さんは、キーボードを打つ手を止めて、私の方を見た。
少しだけ目を見開き驚いた顔をしている聖夜さん。
「凄く似合ってるよ」
それが例え、嘘だとしても、そう言ってもらえたことに顔が熱くなり胸が高鳴った。
「ありがとう、ございます……」
「ねぇ、こっち来て?」
「えっ?」
聖夜さんが手招きをする。
「こっちに来て、ここに座って?」
「あの、でも……」
聖夜さんが指示した場所は、ちょうど聖夜さんが座っている目の前。
もし聖夜さんが恋人なら喜んで、その指示した場所に行き座るだろう……。
でも、そんな近い距離に座るなんて今の私には出来ない。
それは、聖夜さんが犯罪者だからじゃなくて、聖夜さんのことが好きで恥ずかしいからだ。
「実はね、僕も雪乃にプレゼントがあるんだ」
聖夜さんはそう言ってクスリと笑った。