秘密恋愛
「…………誰?」
再びキッチンに向かって呼びかけた。
けど、返事はない。
ここは自分の目で確かめるしかない。
ゴクリと唾を飲み込む。
部屋のドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
ーーガチャ
ドアを開こうとした時……。
「来るな!」
えっ?
聖夜、さん?
聖夜さんの叫び声に似た声が聞こえてきた。
「聖夜さん?」
「来たらダメ!」
「えっ?」
何で?
何で、そんなこと言うの?
何かあったの?
私に見られたら困ることが、ドアの向こうで起こってるの?
まさか、本当に泥棒が入って来て、鉢合わせした聖夜さんが……。
そんな想像をして体がガタガタ震えだす。
でも……。
このままここにいるわけにはいかない。