秘密恋愛



私は思いきってドアを開けた。


ダイニングには誰もいなくて、荒らされた形跡もない。


そこで私の口から安堵の溜息が漏れた。


泥棒が入って来たわけじゃなかったんだ。


…………でも。


じゃあ、何で聖夜さんは来るなと言ったの?


その時、ふと、キッチンに目をやった。



「…………ッ!」



声にならない声が私の口から漏れ、さっきまで安堵していたのに、それが一気に掻き消された。


キッチンにもたれかかるように座っている聖夜さん。


座っていると言うより、足を投げ出し、ダランと力無く座ってる感じだ。




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