秘密恋愛
「…………雪乃?」
聖夜さんが私の名前を呼ぶ。
でもその声に力がなく、今にも消えてしまいそうなくらい小さな声だった。
「聖夜さん!何があったの?」
私の問いかけに何も答えずに、ただ、力無く笑う聖夜さん。
何で何も答えてくれないの?
何で笑ってるの?
ねぇ、何で?
私の視界がだんだんとぼやけてきて、聖夜さんの顔が歪んで見えていく。
フローリングの床に、ポタポタと涙が落ちていく。
「雪乃、泣かないで……」
聖夜さんはそう言って、血で真っ赤に染まった指を私の頬に持ってきた。