秘密恋愛



連絡を受けた両親が、もうすぐ来ると言って、女性警官は部屋を出て行こうとした。



「あのっ!」



私は女性警官の背中に向かって呼びかける。



「何でしょう?」



女性警官は振り向き、そう言って首を傾げた。



「あの、せ……いや、彼は……」


「彼?」



女性警官はそう言って不思議そうな顔をした。



「…………あぁ」



しばらく考えたあと、私の言った彼が誰なのかわかったみたいで、そう声を出した。


聖夜さんは病院に運ばれたのか。


これからどうなるのか。


気になるけど……。



「あなたは何も知らなくていいのよ」



女性警官はそう言って困ったように笑った。


何も教えてもらえないのか……。



「そうですか……」


「あ、でも病院に運ばれて一命は取りとめたみたよ」



女性警官はそう言うと、部屋から出て行った。


命は助かったんだ……。


良かった。




< 208 / 318 >

この作品をシェア

pagetop