秘密恋愛
「アキのことが好きだから、産みたいってだけじゃダメだってこと」
「それは、どういう……」
「いい?雪乃ちゃん」
私はコクンと頷いた。
「雪乃ちゃんは高校を卒業して、結婚できる年齢だと言っても、まだ未成年で病院に行って産むにしても堕ろすにしても親の同意書がいるの。親に黙って物事を進めることは出来ないの」
「はい……」
「それに雪乃ちゃんのお腹の中にいる子供はアキの子で、雪乃ちゃんの両親からしたら大切な娘を拉致して監禁した憎い相手よね。そんな人に、いくら同意のもとであっても大切な娘を妊娠させられたと憎しみが余計に湧いてくるかもしれない」
レイナさんは私の目を真っ直ぐ見て、そう話した。
私もレイナさんの目を真っ直ぐ見る。
「それにね……」
さっきまで私の目を真っ直ぐ見て話していたレイナさんは、そこまで言うと私から目を逸らした。
「レイナ、さん?」
「それに……」
レイナさんは再び私の方を見る。
少し息を吐いた。
「アキは犯罪者で……雪乃ちゃんのお腹の中にいる子供は、犯罪者の子供に、なっちゃうの……」
レイナさんはそう言って、また私から目を逸らした。
犯罪者の子供……。
それがレイナさんの言った覚悟なのか。