秘密恋愛
「好きにしてくれて、いいよ……」
私は膝を自分の方へグッと寄せ、膝をギュッと抱え、そこに顔を埋めて呟くようにそう言った。
彼の好きにしてくれていい。
だって、私は捕らえられた自由がない身だから……。
「じゃあ、好きにするね」
彼がそう言ったあと……。
床にスマホを思いっきり叩きつけた。
耳に響いた音――。
膝を抱えたまま顔だけ上げる。
あっ……スマホが……。
彼の手には画面がバキバキに割れたスマホがあって……。
「画面が割れちゃった」
彼はそう言って、画面が割れたスマホを見てクスクス笑った。
割れたんじゃなくて、割ったんでしょ?
「これ、燃えるゴミで出せるかなぁ?」
彼はそう言いながら、機能しなくなったスマホをゴミ箱に捨てた。
私はそれを黙ってみていた。
ごみ箱に捨てられたスマホ。
助けを求める手段がなくなった。