秘密恋愛



尿検査の結果が出るで、しばらく待つように言われ、私とレイナさんは診察室の前の椅子に座っていた。


その間に渡された問診票を書いていく。



「雪乃ちゃん?」


「はい」



私は問診票を書いていた手を止めた。



「雪乃ちゃんには悪いと思ったんだけど、先生に雪乃ちゃんのことを話させてもらったの。お腹の子の父親のことも……」


「はい」


「ゴメンね……」


「いえ……」



レイナさんは私の手をギュッと握ってきた。



「そしたら、先生が診察は誰もいない時がいいだろうって言ってくれて、今日は本当は休診日なんだけど開けてくれたんだ……」


「そうだったんですね」



だから待合室に誰もいなかったんだ。



「なんか、逆に気を遣わせてしまったみたいで……」


「ううん」



休診日じゃない時に行ったら、周りの人から見られていたかもしれない。


だからレイナさんと先生の気持ちが凄く嬉しかった。



「雪乃ちゃん、診察室にどうぞ?」



診察室のドアから顔を覗かせた先生は笑顔でそう言った。



「は、はい」



私は椅子から立ち上がる。


これでハッキリとわかるんだ。


緊張して胸がドキドキしてる。


私はレイナさんの方を見た。


レイナさんは笑顔で頷く。


私は診察室のドアをゆっくり開けて、中に入った。




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