秘密恋愛




「その宝箱、懐かしいでしょ?」


「うん」



お母さんは結を抱っこしてソファに座ると、結を膝の上に乗せた。



「結が、どうしてもいるって聞かなくて……。ママに聞いておいでって持たせたんだけど」



お母さんはそう言って、クスッと笑った。


私は宝物入れを手に持った。


蓋をゆっくり開けていく。



「なんか、いろいろと入ってるわね」


「うん」



縁日で買ってもらったプラスチックの指輪やネックレス、可愛いシールなど、いろいろ入ってる。


それを、ひとつひとつテーブルに出していく。


…………あれ?


これ…………。


宝物入れの底の方にあったもの。


縁日で買ったものとは違うビーズで出来たネックレス。



「お母さん?このネックレス、覚えてる?」


「ん?」



お母さんはネックレスを手に取る。




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