秘密恋愛
「あ、そうだ」
彼は何か思い出したように、そう呟いた。
「僕の名前はセイヤにしよう」
「セイ、ヤ?」
「そう。クリスマスも近いしね。聖なる夜で聖夜。キミは名前に雪がつくでしょ?2人の名前を合わせると“聖なる夜に降る雪”で素敵だと思わない?」
彼はそう言ってクスッと笑った。
聖なる夜で聖夜……。
2人の名前を合わせると“聖なる夜に降る雪”
それを聞いた時、なぜか胸がドキンと高鳴った。
前に、こんなことがあったような……。
でも、彼と今まで会ったことはない。
今日、初めて会った。
拉致されたのも生まれて初めての出来事だ。
それに彼が言った聖夜という名前は、今さっき雪を見て彼が思いついた名前で本名ではない。
なのに何で?