秘密恋愛
「ねぇ、雪乃?」
窓の外を見ていた聖夜さんが、こちらに目を向けた。
私は名前を呼ばれて、聖夜さんの方を向く。
「ホントにお腹、空かないの?」
私は何も言わずに、コクンと頷いた。
胃の中は空っぽなのに、全くお腹が空かない。
「そっか……。僕はお腹がペコペコだよ」
聖夜さんは、そう言ってクスッと笑った。
人を殺めた人が、よく言うよ……。
この人はホントに犯罪者なのかな?
てか、あの女性はどうなったんだろう……。
その時、窓の外から何台ものパトカーや救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
もしかして……。
「見つかったのかな?」
チラッと窓の外に目をやった彼が、再びこちらに向いてそう言った。