秘密恋愛
賑やかな大通りを外れると、人通りの少ない場所に公園がある。
夕方でも人の気配を感じることのない公園。
木々が生い茂り、ここだけ違う世界のよう。
何のために、この公園があるのかわからないけど、塾に行く近道のため、いつもこの中を通っていた。
公園の中に足を踏み入れる。
恐い――。
そう感じるのはいつものこと。
下を向き、歩く速度を上げ、ただ早く公園を抜け出すためだけに足を進めて行く。
その時……。
“ドンッ”と体に衝撃を受けた。
誰かにぶつかったような衝撃。
足を止め、顔を上げ、振り返る。
そこに立っていたのは若い男。
男もこちらを見ている。
幽霊にでも会ったかのような驚いた表情。
でも次の瞬間、男は目を見開いたまま、首を左右に振り、逃げるように走り去って行ってしまった。