秘密恋愛




「あ、あの……。何でレイナさんが……」


「私?アキから頼まれてね」


「えっ?」



聖夜さんから?


そう言われて、部屋に聖夜さんがいないことに気付いた。



「あの、彼は……」


「あぁ、仕事。雪乃ちゃんが1人でいたら施設の事とか思い出して辛くなるから、私に話し相手になって、気を紛らわしてやってほしいって言われて……。自分が帰るまででいいからってお願いされちゃったの」


「そうなんですね」



私はレイナさんに作り笑いを見せた。


それはすぐに嘘だとわかった。


多分、聖夜さんは自分がいない間に私が逃げるかもしれないと思ったんだろう……。


だからレイナさんに頼んだんだ。


レイナさんは私の気を紛らわすためじゃなくて監視するためにいる。


でも本当の事情を知らないレイナさんは、聖夜さんの言葉を信じているんだろう……。




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