けたたましい音で私のブルーの携帯が鳴った。

闇の中に淡い光が突如現れて、辺りを映し出す。

「もしもし」

「あっ、都?」

いつもの母の声。だけどいつもよりちょっとトーンは高い。

「これからさ、会社の人と飲みに行くことになったの。だから……」

「分かった。ご飯すませとく」

いつものことでもう慣れっこの私は母の言葉を遮った。

「いつもごめんねぇ」

申し訳なさそうな声を出すけれど、許されることを見通しての詫びなのだろう。
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