飼い犬に手を噛まれまして

「って! ギャーーーーッ!!!!」


「おかえりなさい、茅野さん」



 もうお昼近いのにカーテン閉じてたから、誰もいないと思っていた。

 それなのに、ワンコが自分の布団の上で、落ち武者みたいに正座していた。



「びっくりさせないでよね!」


「すみません」


 いつもの黒いジャージ姿のワンコは、何故かムッとした顔で私を睨みつけてくる。



「どこ行ってたんですか?」


「どこ……って、なんでそんなこと言わなきゃいけないの? いいでしょ、別に」


< 109 / 488 >

この作品をシェア

pagetop