飼い犬に手を噛まれまして
「って! ギャーーーーッ!!!!」
「おかえりなさい、茅野さん」
もうお昼近いのにカーテン閉じてたから、誰もいないと思っていた。
それなのに、ワンコが自分の布団の上で、落ち武者みたいに正座していた。
「びっくりさせないでよね!」
「すみません」
いつもの黒いジャージ姿のワンコは、何故かムッとした顔で私を睨みつけてくる。
「どこ行ってたんですか?」
「どこ……って、なんでそんなこと言わなきゃいけないの? いいでしょ、別に」