飼い犬に手を噛まれまして
「何、ボーっとしてんだよ」
「ぎゃっ!」
一点を見つめてた私の横に、スラリとした長身がいきなり現れた。
茶色髪が揺れて、クスクス笑い。長い腕がゆっくりと後ろから私を抱き寄せる。
「郡司先輩っ? や、やめてください! 誰かに見られたらどうするんですかっ!」
先輩の薄い唇が私の耳に押し当てられる。全身の水分が蒸発しそう……っ!
「どうせ見られるなら、俺がどんだけ茅野が好きかわからせてやらなきゃな……」
先輩の長い指が制服のボタンをパチンと外した。
「せ、せせせ……先輩っ!」