飼い犬に手を噛まれまして
二つのまかない弁当
────「おかえりなさい! 紅巴さん! 約束通り、まかない弁当二個もらってきましたよ!」
テーブルの上に並んだ二つのお弁当。透明のパックに入っていて、割り箸がのっている。
「た、ただいま……」
「おかえりなさい!」
ワンコは、白い歯をみせてニッと照れくさそうに笑う。
「深陽さんの事は、どうしたの?」
急にシュンとした顔をして俯いたワンコは、「今日一日悩んだんですけど、やっぱ諦めます」と聞き取れないくらいの小声で呟いた。
「そっか、とりあえずご飯食べようか? 私、お腹すいちゃった! これ、食べていいの?」
手を洗ってクッションに座ると、ワンコはまた照れくさそうに笑って嬉しそうな声をあげた。
「はい! 食べましょう!」