飼い犬に手を噛まれまして


「専業主婦ね……茅野もやっぱりそういうのに憧れたりするのか?」



 先輩からの質問の意味を理解するのに、少し時間がかかった。



「ハハハ、マジで反応鈍いな。時差ありで顔赤くさせんなよ。俺も年齢が年齢だから、そろそろそういう事も考えてるんだよ。

 理解しとけよ?」


 オフィスへのエスカレーターを上りながら……これって、まさかの半ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、プロポーズ?


「理解できません……っ!」




 そんな、先輩が私ごときと結婚を考えてるなんて到底理解できませんっ!


 先輩に腕を掴まれ、デザイン課と庶務課を通り過ぎた通路の突き当たりまで連れてこられた。




「理解できないの?」



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