飼い犬に手を噛まれまして
─────仕事が終わって先輩の車の前で待つ。約束通りの時間に先輩がやってきて、私はレクサスの助手席に乗り込んだ。
突然シートに押し付けられてお昼休みの続きみたいな荒々しいキス。
「先輩……我慢は?」
「できない」
こんなふうに求められることに、幸せを感じちゃうなんて私は少し変なのかもしれない。
車を走らせて、チープなホテルにもつれ込んだ。マンションまで我慢できない先輩が愛しくてたまらない。
煩わしそうに服をはぎ取られて、全身に嵐のようなキスがくる。その一つ一つに甘い声が出る。
洗濯糊がきいていて少し硬い真っ白なシーツの上で先輩と絡み合う。
天井の鏡の中の自分と目が合った。
なんて厭らしい顔してるんだろう私。