飼い犬に手を噛まれまして


 糸がプツンと切れて、壊れた人形みたいになった私はその全てを先輩にさらけ出す。

 先輩はそのタイミングを逃さずに、さらに追い討ちをかけてくる。



 荒い息づかいだけが、鼓膜のすぐ近くでずっと鳴り響く。





「茅野……?」



 郡司先輩に体を揺すられて、はじめて自分の意識が飛んでたと知らされた。



「あ、すみません……」


「いいよ。こっちこそ、ごめん。手加減してやれなかったな」


 全身が重くて、頭はうまく回転しない。だけど、先輩の肩に頭をのせて優しく髪を撫でられて、私はこの上なく幸せだった。



「さっきの話、本気だから」


「さっきの……話?」



「おい、そこ聞き逃すなよ。一緒に暮らしたいってバンジージャンプするくらいの決意で言ったんだぞ?」





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