飼い犬に手を噛まれまして
「大丈夫? 顔色真っ青だよ、茅野。
あんた最近郡司くんと仲いいもんね。ランチ一緒にしたりしたんでしょ? でも、無理無理諦めな」
指でバツを作った萌子先輩に、この後笑顔でおめでとうを言ってあげられる自信がなくなった。
「諦められましぇん……」
「やだ、マジなの? 傷が浅いうちに諦めなよ。相手にされないって」
ハナから萌子先輩は、私と郡司先輩が結びつかないらしい。
「茅野さーん、萌子先輩、まだですか?」
待ちきれなかった濱中さんが私たちを迎えにきてくれた。
「あ、ごめん。すぐいく……」